公開日:2014/10/29 最終更新日:2014/10/29

JVNVU#98581917
GNU Wget にシンボリックリンクの扱いに関する問題

概要

GNU Wget には、FTP の再帰的ダウンロード時におけるシンボリックリンクの扱いに問題があり、GNU Wget の実行権限の範囲内でローカルファイルシステム上の任意のファイルを操作される可能性があります。

影響を受けるシステム

  • GNU Wget

詳細情報

リンク解釈の問題 (CWE-59)
GNU Wget は、サーバからファイルを取得するためのユーティリティです。GNU Wget で FTP サーバから再帰的にファイルをダウンロードする際、サーバから取得するディレクトリ一覧のなかに細工されたシンボリックリンクが仕込まれていると、Wget がローカルファイルシステム側の任意のファイルを作成したり上書きしたりする可能性があります。

想定される影響

遠隔の FTP サーバから再帰的にファイルをダウンロードする際、GNU Wget を使用しているユーザの権限で任意のファイルを作成されたり、任意のファイルを上書きされたりする可能性があります。

対策方法

アップデートする
GNU Wget では、本問題の対策としてバージョン 1.16 をリリースしています。
このバージョンでは、サーバから取得したファイル一覧情報の検査が追加されています。
また、初期状態で retr-symlinks オプションを有効にしており、FTP サーバからの再帰的ダウンロード時に、サーバ側のシンボリックリンクに対応してローカル側にシンボリックリンクを作成しなくなります。

ワークアラウンドを実施する
retr-symlinks オプションを設定することで、FTP サーバからの再帰的ダウンロード時に、サーバ側のシンボリックリンクに対応してローカル側にシンボリックリンクを作成しなくなります。

参考情報

  1. CERT/CC Vulnerability Note VU#685996
    GNU Wget creates arbitrary symbolic links during recursive FTP download
  2. Rapid7 - R7-2014-15
    GNU Wget FTP Symlink Arbitrary Filesystem Access

JPCERT/CCからの補足情報

JPCERT/CCによる脆弱性分析結果

2014.10.29における脆弱性分析結果(CVSS Base Metrics)

CVSSとは

評価尺度 評価値 説明
攻撃元区分(AV) ローカル (L) 隣接 (A) ネットワーク (N) ネットワーク経由でリモートから攻撃可能
攻撃条件の複雑さ(AC) 高 (H) 中 (M) 低 (L) 攻撃成立に何らかの条件が必要
攻撃前の認証要否(Au) 複数 (M) 単一 (S) 不要 (N) 認証は不要
機密性への影響(C) なし (N) 部分的 (P) 全面的 (C) 情報は漏えいしない
完全性への影響(I) なし (N) 部分的 (P) 全面的 (C) 情報の正確さや完全さが部分的に損なわれる
可用性への影響(A) なし (N) 部分的 (P) 全面的 (C) システムの使用が部分的に阻害される

Base Score:5.8

謝辞

関連文書

JPCERT 緊急報告
JPCERT REPORT
CERT Advisory
CPNI Advisory
TRnotes
CVE CVE-2014-4877
JVN iPedia