公開日:2015/03/11 最終更新日:2015/03/11

JVNVU#98897821
Telerik Analytics Monitor ライブラリに DLL ハイジャックが可能な脆弱性

概要

Telerik Analytics Monitor ライブラリは、アプリケーション使用に関するメトリクス情報を収集するためのアプリケーション使用解析サービスです。特定のバージョンの Telerik Analytics Monitor ライブラリには、DLL ハイジャックが可能な脆弱性が存在するため、ライブラリを実装するアプリケーションのコンテキストで任意のコードをロードさせられる可能性があります。

影響を受けるシステム

  • Telerik Analytics Monitor ライブラリ バージョン 3.2.96 およびそれ以降、3.2.125 より前のバージョン
これらのバージョンでは、ファイルプロパティで 3.2.x 系ではなく 1.0.0.1 と表示されます。

詳細情報

プロセスの制御 (CWE-114)

Telerik Analytics Monitor ライブラリは、アプリケーションに統合する DLL として提供されています。このライブラリは、HTTPS 通信をサポートする目的で、独自にビルドした OpenSSL を含んでいます。

本脆弱性は、2014年8月3日にリリースされた Telerik Analytics Monitor ライブラリ バージョン 3.2.96 において作りこまれました。このバージョンでは、OpenSSL ライブラリが暗号化演算ハードウェアをサポートする形でビルドされており、関連する DLL を実行時にロードしようとします。具体的には、4つの DLL (sunsapi.dllswift.dllnfhwcrhk.dllsurewarehook.dll) をロードしようとしますが、これらは Telerik からは提供されていません。本脆弱性の影響を受ける Telerik Analytics Monitor ライブラリのファイル名は、EQATEC.Analytics.Monitor.Win32_vc100.dll (32-bit 版システム向け) と EQATEC.Analytics.Monitor.Win32_vc100-x64.dll (64-bit 版システム向け) です。

想定される影響

第三者によって提供された悪意ある DLL が Telerik Analytics Monitor ライブラリを実装するアプリケーションにロードされることで、アプリケーションのコンテキストで任意のコードを実行される可能性があります。Telerik Analytics Monitor ライブラリは制御システム (ICS) 等で利用されており、脆弱性が悪用された場合、第三者によって、制御システムにアクセスされる可能性があります。

対策方法

アップデートする
本脆弱性は Telerik Analytics Monitor ライブラリ バージョン 3.2.125 で対策されています。バージョン 3.2.125 以降では OpenSSL が暗号化演算ハードウェアのサポートを無効にしてビルドされており、実行時に DLL がロードされることはありません。

開発者は、バージョン 3.2.129 にアップデートすることを推奨しています (バージョン 3.2.125 より後で発生した問題も修正されているため)。

参考情報

  1. CERT/CC Vulnerability Note VU#794095
    Telerik Analytics Monitor Library allows DLL hijacking
  2. NCCIC/ICS-CERT Advisory (ICSA-15-069-04)
    Elipse E3 Process Control Vulnerability

JPCERT/CCからの補足情報

JPCERT/CCによる脆弱性分析結果

2015.03.11における脆弱性分析結果(CVSS Base Metrics)

CVSSとは

評価尺度 評価値 説明
攻撃元区分(AV) ローカル (L) 隣接 (A) ネットワーク (N) 物理アクセスやローカル環境から攻撃可能
攻撃条件の複雑さ(AC) 高 (H) 中 (M) 低 (L) 攻撃成立に複雑な条件が必要
攻撃前の認証要否(Au) 複数 (M) 単一 (S) 不要 (N) 認証は不要
機密性への影響(C) なし (N) 部分的 (P) 全面的 (C) 全ての情報が漏えいする
完全性への影響(I) なし (N) 部分的 (P) 全面的 (C) 情報の正確さや完全さが全面的に損なわれる
可用性への影響(A) なし (N) 部分的 (P) 全面的 (C) システムの使用が全面的に阻害される

Base Score:6.2

謝辞

関連文書

JPCERT 緊急報告
JPCERT REPORT
CERT Advisory
CPNI Advisory
TRnotes
CVE
JVN iPedia